よくある目の病気
第94回目は、乱視(らんし)です。
前回までは遠視と近視のお話をしてきましたが、今回は同じ屈折異常に分類される乱視について説明していきます。
乱視は言葉で理解するのが難しい概念です。
屈折力が屈折点により異なるために焦点を結ばない状態を言います。
大きく正乱視と不正乱視に分けられます。
乱視の症状としては、
① 物がぶれて見えてシャープに見えない(下図参照)。裸眼視力の低下。
② 単眼複視(片眼だけで見ると、物が二重に見える)
③ 眼精疲労(眼が疲れる、眼が重たい、眼の奥が痛い、こめかみが痛い、涙が出る)
④ 弱視(就学前の子供で強い乱視があると、視力の発達が正常に行われないことがあります)
※参天製薬HPより引用
正乱視は角膜や水晶体の対称的歪みによって発生し、円柱レンズにより矯正できる乱視です。
不正乱視は屈折面での屈折が不規則で、円柱レンズを用いても矯正できない乱視です。
※参天製薬HPより引用
乱視の発生に関与する解剖学的な部位としては、大部分が角膜と水晶体になります。
※参天製薬HPより引用
角膜乱視には正乱視と不正乱視があり、正乱視はほぼ生まれつきの体の特徴と考えておいたほうが良いでしょう。不正乱視を起こす病気としては、角膜混濁、円錐角膜、翼状片などがあります。また眼の手術を行った後、新たに乱視が発生することもあります。
水晶体乱視にも正乱視と不正乱視があります。加齢による水晶体の変化で生じる場合があります。また水晶体乱視を引き起こす病気としては、白内障、水晶体亜脱臼などがあります。
【治療】
正乱視の場合は一般的には眼鏡ないしハードコンタクトレンズによる矯正が適しています。
不正乱視の場合は、角膜不正乱視に関してはハードコンタクトレンズが適していますが、水晶体不正乱視に対しては困難な場合があります。
治療用のハードコンタクトレンズでも矯正が困難な場合には、屈折矯正手術を行う場合があります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)