よくある目の病気
第88回は、続発緑内障 (ぞくはつ りょくないしょう) のお話です。
緑内障は原発性と続発性に大きく分けられます。
第86回 原発開放隅角緑内障
第87回 原発閉塞隅角緑内障
前回までは原発性の緑内障についてお話してきました。
原発性とは医学用語で「他の原因がみつからないもの」という意味であり、「一次性」と同義です。
それに対して続発性とは、他に原因疾患があり、その疾患があるために二次的に引き起こされたもの、という意味があります。
今回は続発緑内障のお話になりますが、二次的に緑内障を引き起こす原因は実にさまざまなものがあります。原因を大きく3つに分けますと、①他の眼疾患、②全身疾患、③薬物使用、に分けることができます。
これらの原因が結果的に眼圧上昇を引き起こし、そのため視神経が障害され、最終的に視野が欠けたり、視力が低下したりといった視機能の異常に至ります。これが続発緑内障です。
【症状】
視野障害と視力低下が2大症状になりますが、本人の自覚がなく進行している場合も多くあります。
急激な眼圧上昇を伴う場合(急性緑内障発作)には、
眼痛、頭痛、吐き気、充血、霧視(かすむ)
などの症状が出る場合もあります。
【原因】
続発緑内障の原因となる、①他の眼疾患、②全身疾患、③薬物使用についてそれぞれもう少し詳しく列挙してみましょう。
①他の眼疾患
ぶどう膜炎
偽落屑症候群
ポスナーシュロスマン症候群
眼科手術後(白内障手術、硝子体手術、角膜移植など)
水晶体脱臼・膨化
眼内腫瘍
小眼球症
眼外傷
など実にさまざまな疾患があります。
②全身疾患
アミロイドーシス
糖尿病
③薬物使用
ステロイド薬の長期使用
【治療】
原因疾患の治療をできうる限り充分に行います。
例えば、ぶどう膜炎による炎症が強い場合には薬物治療で炎症を抑えることにより眼圧が下降する場合があります。
網膜虚血性病変による血管新生が原因の場合は、レーザー治療を行い網膜血流の需要・供給バランスを取ります。
ステロイド薬の使用が原因の場合は、可能な限りステロイド薬を減量・中止します。その後、眼圧の下降レベルに応じて緑内障点眼薬(眼圧下降薬)を使用し眼圧のコントロールをします。
原因疾患の治療に加えて、薬物治療を行い、眼圧コントロールを目指しますが、それでも困難な場合には緑内障手術を行います。
繰り返しになりますが緑内障が進行して一旦障害された視神経を回復させる治療法はありません。眼圧をコントロールし視神経障害の更なる進行をくい止めることが治療の目標となります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)