よくある目の病気
第103回目は、眼精疲労 (がんせい ひろう) です。
眼精疲労とは、いわゆる「疲れ目」です。主に眼を使う仕事(視作業)を長時間行う人がなりやすく、眼の疲れ以外の身体的症状を訴えることもあります。
眼精疲労の原因にはさまざまなものがあり、まずは人それぞれの生活状況を詳しく確認することが重要です。さらに医学的な検査を行い、できる限り原因を追究し対処法を考えます。
【症状】
目の症状として
眼が重たい、だるい
眼が押される感じがする(圧迫感)
眼の奥が痛い
こめかみが痛い
身体的な症状として
頭痛
肩こり
吐き気
イライラする
などがあります。
【原因】
眼精疲労の原因にはさまざまなものがあります。
① 調節性眼精疲労
屈折異常や調節異常が原因となります。
物を見る距離に応じた矯正が適正でない場合、毛様体筋を用いて水晶体の屈折力をコントロールすることにより網膜に焦点を合わせる必要が出てきます。この作用を調節と呼びますが、調節の負担が長時間に及んだりすると、眼精疲労を引き起こします。
遠視や乱視の場合は、矯正不足(低矯正)により起こることが多く、反対に近視の場合は眼鏡やコンタクトレンズにより過度の矯正(過矯正)をかけている場合に起こることが多いです。
調節異常では老視、調節麻痺、調節衰弱などの調節力低下によって起こります。
② 筋性眼精疲労
眼位の異常(主に外斜位)や輻輳不全で起こります。
近くを見る作業(近見作業)をする場合には、両眼の視線を内側に寄せることになります。
外斜位の場合、もともと両眼の位置関係が外に開こうとする状態ですので、近見作業が長時間続くと目が疲れやすくなります。
輻輳とは、近くのものを見ると眼が内側によっていく現象、いわゆる「より目」の状態のことを指します。この運動がうまくいかないことを輻輳不全といいます。輻輳不全の方も、近見作業が長くなると目が疲れやすくなります。
③ 不等像性眼精疲労
左右の眼に映った像の大きさが違うように感じる不等像視があると、両眼視しようとしても融像がうまくいかず、その努力のため眼が疲れやすくなります。
④ 症候性眼精疲労
何らかの眼疾患が原因で起こる眼精疲労です。
例えば、角膜疾患や白内障、緑内障などが挙げられます。
⑤ 神経性眼精疲労
眼に異常がないのに眼が疲れる場合で、身体と精神の両面の異常や疲労が原因で起こります。
睡眠不足が続いても、目はとても疲れやすくなります。
【治療】
眼精疲労の原因は必ずしも1つとは限らず、複数あることも多いです。
最近ではVDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群といって、コンピューター画面での長時間作業によって目の疲れや、その他のさまざまな症状を訴える人が増えています。
眼の状態を詳しく調べることも重要ですが、自分の生活習慣や生活環境を詳しく振り返ってみて原因を探すことも大変重要です。
眼鏡やコンタクトレンズの度数を適正に調整する
プリズム眼鏡を使用する
治療可能な眼疾患があれば治療する
睡眠を充分に取る
身体の健康状態を整える
点眼薬を使用する
近見作業中にときどき休憩をはさむ
眼を暖める
それぞれの人に応じて原因を探し出し、上に挙げたような対応を必要に応じて行うことになります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)