「よくある目の病気」
第54回は糸状角膜炎(しじょう かくまくえん)のお話です。
糸状角膜炎とは、糸状に剥がれた角膜上皮の一方の端が角膜に付着しており、他方の端は付着せずに遊離している状態です。
顕微鏡で観察すると糸状の物質が角膜にくっついているように見えます。まばたきするたびに、この糸状の付着物が引っ張られ、強い異物感、痛みを感じます。
【症例】
64歳女性。ドライアイ(シェーグレン症候群)。
痛み、異物感がある。
糸状の物質が角膜に多数付着している。
20歳男性。流行性角結膜炎。
ゴロゴロした異物感、涙が出る、充血する。
白い糸状の物質が多数角膜に付着している。
【症状】
異物感
痛み
充血
かすむ(霧視)
涙が出る(流涙)
【原因】
原因は不明ですが、以下のような病気に併発して起こる場合があります。
動眼神経麻痺、顔面神経麻痺、兎眼(第6回参照)
寝たきりの状態
点眼薬の副作用
糖尿病などの全身疾患
角膜移植術後
【治療】
糸状の付着物をピンセットや綿棒で除去します。
薬物治療として、角膜保護薬や抗炎症薬、ドライアイ治療薬の点眼や眼軟膏を用います。
治りが悪い場合には治療用のコンタクトレンズを使用することもあります。
ドライアイがひどい場合には涙点プラグの挿入をおこなうこともあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)