「よくある目の病気」
第46回はドライアイです。
俗に言う”かわき目”ですが、2016年に改定されたドライアイ研究会による定義は、
「ドライアイは、さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼の不快感や視機能の異常を生じ、眼の表面の障害を伴うことがある」となっています。
ドライアイは軽度から重度まで、重症度の幅が大きい疾患であり、下記のようなさまざまな症状を起こします。
【症例】
76歳男性。3年前から両眼ともかすんで見える。痛みも出る(コロコロする)。
涙の溜まっている量が低下している。
上記の拡大写真。角膜(黒目)の表面に点状の傷がたくさん生じている(緑色の点)。
点眼治療に加えて涙点プラグを使用した。
涙液がたくさん溜まっていることがわかる。角膜の傷も減少し、視力が(0.8)から(1.2)へと改善した。
かすみが取れて、痛みもなくなったと本人。
【症状】
目の乾きを感じる(乾燥感)
コロコロする(異物感)
チクチク、ヒリヒリする、目がしみる(痛み)
目の奥が痛い、目の奥が重い
かすんで見える、ぼやけて見える(霧視)
光がまぶしく感じる(羞明)
わけもなく涙が出る(反射性流涙)
目を開けているのがつらい(重症の場合)
【原因】
本人の体質の変化によるもの(一次性)と環境要因によるもの(二次性)とに分けられます。
体質の変化としては、涙の量が減ってしまう場合と、涙の質が低下してしまう場合に大別できます。加齢、目の疾患、全身疾患(シェーグレン症候群など)、薬物の副作用、目の手術による影響、などが原因となります。
環境要因によるものとしては、①コンタクトレンズの装用(特にソフトコンタクトレンズ)、②凝視作業による瞬目の低下(パソコン作業、事務作業、裁縫、顕微鏡の仕事など)、③湿度の低下、などがあります。
【治療】
環境要因の改善、点眼療法、涙点プラグ、サプリメントなどがあります。
まず詳細な問診を行い、先に述べた環境要因がある場合はそれを改善してもらいます。
これは非常に重要な治療になります。
点眼療法には、人工涙液、角膜保護薬、ムチン分泌促進薬、自己血清点眼などがあります。
重症度に応じて使い分けたり組み合わせて投与します。重症の場合は眼軟膏も投与します。
点眼療法のみで改善が困難な場合や重症の場合は、涙点プラグを使用します。これは、涙の通り道である涙点を物理的にふさいでしまい、眼の表面に涙液が潤うようにする方法です。
サプリメントには、特別な種類の乳酸菌があり、これを服用することにより涙液量が増加します。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)