シリーズ 「よくある目の病気」
第25回目はクラミジア性結膜炎・淋菌性結膜炎(りんきんせい けつまくえん)です。
【症例】
クラミジア感染による結膜炎。大きな濾胞が形成されている。
※眼疾患診療ガイドより引用
淋菌感染による結膜炎。膿状の大量のメヤニが出ている。
※眼疾患診療ガイドより引用
【症状】
クラミジア性結膜炎
成人の場合と、新生児の場合に分けられます。
成人の場合、膿状のメヤニ(膿性眼脂)と充血、耳前リンパ節の腫れ、痛みが主な症状です。
眼瞼結膜(まぶたの裏)に多数の大きな濾胞が形成されます (第21回 濾胞性結膜炎参照)。
新生児の場合、膿性眼脂と充血は共通しており、濾胞はみられませんが、偽膜が形成される場合があります(第19回 偽膜性結膜炎参照)。
淋菌性結膜炎
強い充血と黄色のメヤニ(膿性眼脂)が大量に出ます(第18回 化膿性結膜炎参照)。新生児の場合、新生児膿漏眼と呼ばれます。
眼瞼結膜(まぶたの裏)にも強い充血と腫れが起こります。
重症化すると、角膜潰瘍や角膜穿孔(かくまくせんこう)といって角膜に穴があき、眼内炎をひきおこし、最悪の場合失明することがあります。
【原因】
クラミジア性結膜炎・淋菌性結膜炎共に新生児と成人では原因が異なります。
新生児では母体からの経産道感染よっておこります。クラミジアの場合は、生後5~12日後に発症、淋菌の場合は生後3~4日後に発症すると言われています。
成人は性交渉によって感染します。これをSTD (Sexually Transmitted Disease)と呼びます。
パートナーにも同様の症状がないか確認し、同様の症状があれば、治療が必要です。一方が治っても、一方が治療をしていなければ再度感染をひきおこします(ピンポン感染)。
【治療】
クラミジア性結膜炎
基本の治療として抗生物質の眼軟膏による治療を6週間行います。途中で治療を中止すると再発する可能性が高くなります。抗生物質の種類としてはマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系が有効です。
混合感染を防ぐために抗生物質の点眼液、抗炎症薬の点眼液も併用します。重症化したり、性器にも症状が出ている場合は、抗生物質の内服薬を服用します。
淋菌性結膜炎
抗生物質の点眼薬と全身投与を併用します。
耐性菌(特定の抗生物質に耐性をもつ)が増えてきているため、全身投与の抗生物質は選択の種類が限られています(セフトリアキソン、セフォジジム、スペクチノマイシンなど)。
抗生物質の点眼薬もセフェム系が最も効果が期待でき、1時間おきに投与します。ニューキノロン系には80%の菌株が耐性を持っているという報告もあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)