シリーズ 「よくある目の病気」
第21回は濾胞性結膜炎(ろほうせい けつまくえん)のお話しです。
【症例】
アデノウイルス8型による流行性角結膜炎の症例 (眼科診療プラクティスより引用)
クラミジアによる結膜炎 多数の大型の濾胞が形成されている。(眼科診療プラクティスより引用)
【症状】
濾胞性結膜炎とは、濾胞の形成を伴った結膜炎のことを指します。
濾胞とは、リンパ球を主体とする細胞が増殖してできた反応性組織で、円形に近く、膨れた形をしています。
頂点ではなく周辺部から血管が侵入しているのが特徴で、乳頭とは区別されます(巨大乳頭結膜炎 第20回参照)。
結膜の円蓋部に好発します。
症状としては、通常の結膜炎と同じく、充血、メヤニ、(かゆみ)となります。
【原因】
急性の濾胞性結膜炎の場合は、ウイルスとクラミジアが代表的です。ウイルスは流行性角結膜炎(はやり目)や咽頭結膜熱を起こすアデノウイルス、急性出血性結膜炎を起こすエンテロウイルス、単純ヘルペスウイルスなどがあります。特殊なものとしてパリノー結膜炎があります。
慢性の濾胞性結膜炎の場合は、トラコーマや伝染性軟属腫(ポックスウイルス)による結膜炎、点眼薬の長期使用による薬物中毒性結膜炎などがあります。
【治療】
それぞれの原因に応じた点眼薬を使用します。抗生物質(抗ヘルペスウイルス薬)を使用し、炎症の程度に応じて抗炎症薬を併用します。
クラミジアの場合には抗生物質の眼軟膏を使用し、内服薬を併用することもあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)