シリーズ「よくある目の病気」
第19回は偽膜性結膜炎(ぎまくせい けつまくえん)のお話しです。
偽膜性結膜炎とは、眼瞼(まぶた)の裏側に膜のようなものができる結膜炎のことで、偽膜(ぎまく)というのは、その眼瞼の裏側にできた炎症性の白い膜のことです。
【症例】
※アデノウイルスによる偽膜性結膜炎 (「眼科診療プラクティス」より抜粋)
※新生児。クラミジアによる偽膜性結膜炎 (「目で見る眼疾患」より抜粋)
【症状】
症状としては、充血したり、眼脂(めやに)がたくさん出たり、まぶたが腫れたりすることが多く、眼脂に膿が混ざったり、涙目になることもあります。
眼瞼結膜(まぶたの裏側)には、軽度の場合なら薄い透明の膜ができ、フルオレセインで染色してはじめてわかるもの、重度の場合だと白色の分厚い膜ができるなどの所見がみられます。
【原因】
偽膜は、分泌物の中に線維素が多い場合に形成されます。
ウイルスや細菌の感染が原因の場合はほとんどが急性です。アデノウイルス、クラミジア、ジフテリア、溶連菌などのウイルスや細菌に感染することにより結膜炎を起こし、偽膜を形成する場合があります。
その他の原因としては、類天疱瘡や、スティーブンス・ジョンソン症候群などの全身疾患に伴って生じる場合もあります。
まれな慢性の偽膜性結膜炎として、木質性(リグニアス)結膜炎があります。
【治療】
治療は原因の菌に応じた抗生物質と炎症止めの点眼の治療を行います。
症状がひどい場合には眼軟膏を処方することもあり、必要に応じて偽膜を剥がし除去する処置を行うこともあります。アデノウイルスによる結膜炎では、偽膜を除去しないとまぶたの腫れがなかなか軽快しない場合が多いです。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)