外斜視・間歇性外斜視 (よくある目の病気 99) | 京橋クリニック眼科は大阪市都島区、京橋駅前の眼科専門のクリニックです。

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外斜視・間歇性外斜視 (よくある目の病気 99)

よくある目の病気

第99回 外斜視・間歇性外斜視 (がいしゃし ・ かんけつせい がいしゃし)

 

前回に引き続き斜視のお話しです。外斜視とは、前回の内斜視とは反対に、第一眼位の状態で、左右どちらかの眼が外側(耳側)に向いていることを言います。頭をまっすぐにて正面を見ているときの状態が第一眼位です。

 

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※参天製薬HPより引用

 

 

【分類】

外斜視の分類には常に斜視の状態になっているか、ときどき斜視の状態になるかによって、恒常性外斜視間歇性外斜視の二つに分ける分類があります。

 

外斜視の分類としては、他にも

続発性外斜視内斜視の手術のあとに外斜視になる)

廃用性外斜視(極度の視機能低下により、悪い方の眼が外斜視になる)

麻痺性斜視動眼神経麻痺内側縦束症候群など)

などに分ける分類もあります。

 

恒常性外斜視の症例

外斜視(視能学より抜粋)SCN_0034

※「視能学」より引用

 

 

【症状】

恒常性外斜視

外斜視のうち、全体の約2%が恒常性外斜視です。

恒常性とは、常に外斜視になっている状態の事です。

 

幼少期に発症すると、両眼視機能 (binocular visual function) をうまく獲得することができません。両眼視機能とは、①左右の眼で同時にものを見る働きを持つ同時視 (simultaneous perception) 、②左右の眼に映ったそれぞれの映像をまとめて一つのものとして見る働きである融像 (fusion) 、③ものの遠近感、立体感を感じる立体視 (stereopsis) の三つの機能を言います。

両眼視機能は生後2~3ヶ月頃から発達し5~6歳頃には完成します。

 

幼少期におこると抑制 (suppression) といって視線がはずれている方の眼からの入力情報を脳が無意識的に消してしまうことが起こります。この抑制の状態が続くと、脳は片方の眼からの入力情報のみで映像を構成しているため、複視は起こりません。ただ、両眼視機能視力の正常な獲得・発達が行われずに弱視(第97回参照)になる場合があります。

両眼視機能を獲得した後に発症した場合、複視といって両眼でものを見た時に、ものが二つに見える状態が生じ、遠方も見えにくくなります。眼精疲労を感じる方もいます。

 

外斜視になると両眼の視線が一致しないので、どこを見ているかわからない、人と話していても視線が合わないなど整容上気にされる方も多いです。

間歇性外斜視からの移行でおこる場合もあります。

 

間歇性外斜視

外斜視のうち全体の約90%が間歇性外斜視です。

視線が目標のものに向いている時と、外斜視になっている時と併せもっている状態です。

 

外斜視は遠くを見ているときに起こると見かけ上問題となり、近くを見る時に起こると読書がしづらくなります。疲れている時、起床直後、明るい戸外でも起こりやすいのが特徴です。恒常性外斜視と同じく、複視や、両眼視機能の低下(抑制)眼精疲労が出る場合があります。

 

 

【原因】

詳しくはわかっていませんが、いくつかの原因が考えられます。

①目を動かす筋肉や神経にわずかでも異常がある場合。

②脳にわずかでも異常がある場合。両眼視がうまくできず、それぞれの目が別々に見るようになり、外斜視になることがあります。

③視力、視機能が極度に低下した場合。片方の目の視力が悪くなると、両眼視ができず、視力の悪い方の眼が外斜視になることがあります。

 

 

【治療】

恒常性外斜視

基本、斜視手術を行います。

手術をした後に複視が出現することがあり、術前の検査結果から手術自体を行わない場合もあります。

手術後に”もどり”(再度外斜視になる)が出ることがあります。

両眼視機能の不良の場合も多く、手術の前後で屈折異常の矯正、弱視訓練、視能矯正などを試すことがあります。手術で目の向きを治しても、両眼視ができない場合もあります。

 

間欠性外斜視

外斜視のずれの幅が小さいうちは、複視があれば、プリズムと呼ばれる光を屈折させる力を持つレンズの眼鏡を装用し、ものが二つに見えないように補ったり、両眼視機能の働きを鍛える視能訓練をします。また、外斜視が出現する時間が多くなる、ずれの幅が大きくなる、プリズム眼鏡で補いきれない、整容上気になる、などあれば手術の適応になります。

 

子供の斜視は早期に治療しないと、両眼視機能が発達せず、物が立体的に見えない、視力がでない、弱視の原因になりますので、ご家族の方がよく観察すると気付きやすい場合も多く、斜視に気がついたら、早めに眼科を受診しましょう。

 

 

(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)