「よくある目の病気」
第60回は、角膜変性症 (かくまく へんせいしょう) のお話です。
角膜変性症は英語で角膜ジストロフィと言います(corneal dystrophy)。
遺伝性、両眼性の病気で、進行すると角膜が混濁し、視力障害に至ります。
多くの種類が存在します。
類似している病名で、角膜変性という病名があります。これは英語でcorneal degenerationと呼びます。
角膜ジストロフィと異なり、非遺伝性で持続性の病気です。
老人環(第58回参照)、円錐角膜(第59回参照)、帯状角膜変性などがあります。
【症例】
32歳女性。
3年程前から両眼のかすみ、まぶしさ、見えにくさを自覚している。
矯正視力は両眼ともに1.5である。
角膜中央部に散在する混濁を認める(角膜変性症)。
44歳女性。
特に自覚症状はない。コンタクトレンズの検診で通院しているが、視力の変化もない。
両眼ともに矯正視力は1.2である。
角膜中央部に散在する混濁を認める(角膜変性症)。
【症状】
角膜の混濁
視力低下
まぶしさ(羞明)
異物感
痛み、充血、流涙 (角膜上皮に障害を生じた場合)
【原因】
遺伝子に異常があり、遺伝子の異常のタイプによって、さまざまなタイプの角膜の異常が生じます。
代表的な角膜ジストロフィとして、
① 顆粒状角膜ジストロフィ
② 斑状角膜ジストロフィ
③ 格子状角膜ジストロフィ
④ 膠様滴状角膜ジストロフィ
⑤ フックス角膜内皮ジストロフィ
⑥ 輪状角膜ジストロフィ
などがあります。
【治療】
視力低下に対しては、表層角膜切除術(エキシマレーザー)、表層角膜移植術、全層角膜移植術などがあります。
角膜上皮が障害された場合は、角膜保護の点眼剤や、治療用のソフトコンタクトレンズを使用します。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)