シリーズ 「よくある目の病気」
第22回は、出血性結膜炎(しゅっけつせい けつまくえん)です。
出血性結膜炎とは、結膜下出血の所見を伴う結膜炎のことをさします。
時折、患者さんが結膜下出血を充血と表現されますが、充血と出血は違いますので注意が必要です。
充血は、様々な原因により血管が拡張しており、通常よりも血液が集まっているので赤く見えている状態のことを指します。
結膜下の出血は、様々な原因により結膜の毛細血管から出血し、透明な結膜の下に血液が溜まっている状態です。
血液が透明な結膜を通して透けて見えるので、出血部は真っ赤に見えます。
【症例】
44歳男性。昨日からの異物感、メヤニ、痛みを主訴に来院。
結膜の充血と結膜下出血を合併している。
結膜の充血と結膜下出血を合併している症例。
※「現代の眼科学」より引用
【症状】
結膜炎による症状が主なものになるので、原因によって主症状が変化しますが、結膜下出血自体の症状はほとんどなく、若干の違和感程度です。
感染性(ウイルス性や細菌性)の場合は、充血や大量の眼脂(メヤニ)、痛み、流涙などが主な症状です。
アレルギー性の場合は、充血や眼脂、痒み、などが主な症状です。
【原因】
出血を伴う結膜炎の原因には、感染性(ウイルス性や細菌性)のものと、アレルギー性のものがあります。
・ウイルス性
急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎(はやり目)
ウイルス感染により結膜もダメージを受け結膜の血管から出血が起こります。
特に、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスによる伝染力が極めて強い急性結膜炎は
結膜下出血を合併することがあり、注意が必要です。
・細菌性
カタル性結膜炎(ブログ第17回参照)、
化膿性結膜炎(インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など、ブログ第18回参照)
細菌感染により結膜もダメージを受け結膜の血管から出血が起こります。
・アレルギー性
眼内異物、巨大乳頭結膜炎(ブログ第20回参照)、春季カタル
かゆみにより結膜を擦ってしまい、物理的に血管を傷つけてしまうと出血が起こります。
【治療】
結膜炎の原因によって治療法は異なりますが、結膜下出血自体は基本的には出血が自然に吸収されるのを待つことになります。
出血量に応じて吸収されるまでの時間は異なります。長ければ、1ヶ月近くかかるものもあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)