シリーズ 「よくある目の病気」
第2章 結膜
前回は結膜炎の総論をしました。
今回から結膜炎の各論に入ります。
まず最初は、カタル性結膜炎です。
カタル (catarrh) とは、一般に粘膜で起こる滲出性(しんしゅつせい)の炎症のことを言います。
滲出とは、炎症の結果、分泌物が出ることを言います。これは眼脂(めやに)になります。
カタルの場合は、粘液の分泌が亢進します。
【症例】
肺炎球菌による結膜炎 (眼科診療プラクティスより抜粋)
インフルエンザ菌による結膜炎 (眼科診療プラクティスより抜粋)
【症状】
充血と眼脂(めやに)が主な症状です。眼脂の多さは中等度です。
結膜の所見としては、目立った乳頭形成や濾胞(ろほう)形成を認めないことが特徴です。
乳頭や濾胞を伴う結膜炎については、次回以降に解説します。
なお、結膜下出血、脂漏性眼瞼縁炎(第10回参照)、眼角眼瞼炎(第11回参照)などを伴うことはあります。
【原因】
カタル性結膜炎は、急性と慢性に分けられます。
急性の原因としては、感染性(細菌感染、ウイルス感染)、非感染性としては物理・化学刺激によるものがあります。
原因として細菌感染によるものが一番多いとされています。原因菌には肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などがあります。細菌感染の特徴として幼少児や学童、冬場に多いなどがあります。
慢性の原因としては様々で、眼角眼瞼炎、脂漏性眼瞼縁炎、慢性涙嚢炎によるもの、真菌感染などがあります。
【治療】
急性カタル性結膜炎の治療は、原因菌に応じた抗生物質の点眼がメインになります。
慢性カタル性結膜炎の場合も抗生物質の点眼や、必要に応じ て眼瞼の清掃や涙嚢の洗浄などを行います。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)