シリーズ 「よくある目の病気」
第9回目はマイボーム腺炎 (マイボームせんえん)、および、マイボーム腺梗塞 (マイボームせんこうそく) です。
まぶたの中に瞼板という固い板状の組織があり、この瞼板の中にマイボーム腺という分泌腺があることは、第7回でお話した通りです。(第7回 霰粒腫参照)
ここで作られた油分は、涙の表面に油の層をつくり、涙の蒸発を防いでいると考えられています。
マイボーム腺が炎症を起こすことを、マイボーム腺炎といい、マイボーム腺が詰まることを、マイボーム腺梗塞といいます。
【症例と症状 マイボーム腺炎】
※眼疾患診療ガイドより抜粋
マイボーム腺の開口部がやや隆起している。
まつ毛の生え際の内側にマイボーム腺の開口部があり、小さな点のような穴が、上眼瞼に約50個、下眼瞼に約25個並んでいます。
マイボーム腺からは、正常では透明な分泌物がでますが、炎症が起きると黄みがかった油状の分泌物が出て、マイボーム腺の開口部がやや隆起します。
炎症が悪化すると内麦粒腫になる場合もあります。(第8回 麦粒腫参照)
【症例と症状 マイボーム腺梗塞】
47歳女性。
マイボーム腺内に白い塊が生じている。数箇所ある。
マイボーム腺炎で濃厚になった分泌物が排出管の中で詰まると、マイボーム腺の開口部に小さな、白色~黄色の塊ができます。自覚症状がない場合が多いですが、ゴロゴロ、異物感といった症状がでる場合もあります。
また、周囲に炎症をもたらし、悪化すると、霰粒腫につながる場合もあります。(第7回 霰粒腫参照)
マイボーム腺が炎症をおこしたり、詰まることによって、涙液を正常な状態に保つことができず、角膜が乾燥を起こし、角膜に傷が出来る場合もあります。
【原因】
・加齢により、油を押し出す力が弱くなる。
・アイメイクでマイボーム腺の開口部を塞いでしまう。
・体質でマイボーム腺が詰まりやすい方がいる。
※日本眼科学会HPより抜粋
【治療】
軽度の場合、眼瞼を温めたり、眼を閉じた状態でまぶたの上から指で円を描くようにマッサージをします。
周囲が腫れたり炎症がひどくなると、点眼治療を行ったり、マイボーム腺梗塞が重症化すると摘出手術を行う場合があります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)