シリーズ 「よくある目の病気」
第3回は 睫毛乱生 (しょうもう らんせい)のお話しです。
【症例】
76歳女性。上まぶた。他のまつげとは違う位置(眼球に近い場所)に、一本だけまつげが生えている(睫毛乱生)。
46歳女性。下まぶた。他のまつげとは違う位置(眼球に近い場所)に数本のまつげが並んで生えている(睫毛乱生)。
上と同じ症例。乱生していた睫毛を抜去した後の写真。
【症状】
まつげの先端が角膜(黒目)や結膜(白目)に触れてしまい、角膜や結膜に傷ができ、コロコロ、チクチクなどの痛み、異物感が出たり、充血を起こしたり、涙が出たりします。ひどくなると角膜に傷が多くでき視力障害を起こすこともあります。
【原因】
睫毛(まつげ)が生える位置がおかしいことが主な原因です。普段まつげが生える場所から、さらに内側(眼球に近い方)に生えることにより、まつげの先端が角膜や結膜に接触してしまいます。
睫毛が内側を向いて生える→ 睫毛内反 (第2回 参照https://kyo-eye.org/diseases/118.html)
睫毛の生える位置がおかしい→ 睫毛乱生
と理解するとわかりやすいでしょう。一般的にはどちらも俗に言う「逆まつげ」で認知されていると思います。
【治療】
眼球に当たっているまつげを抜き、角膜や結膜に傷ができている場合には点眼薬で傷を治す治療を行います。
ただし、まつげは抜いてもまた生えるため、また眼球に当たるようであれば再度抜かなければなりません。
根治治療としてはまつげが再生しないよう、電気分解、冷凍凝固、レーザー光凝固などを行うこともあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)