よくある目の病気
第83回 星状硝子体症 (せいじょう しょうしたいしょう)
前回と今回は硝子体に関係する病気を取り上げています。
※参天製薬HPより転載
星状硝子体症 (asteroid hyalosis) は、硝子体の変性疾患です。
60歳以上の高齢者にみられることが多く、片眼性であることが多く、非炎症性の疾患です。
顕微鏡で硝子体を観察すると、キラキラとした混濁がみられます(下図)。
※「眼科診療プラクティス」より引用
【症例】
81歳男性。糖尿病と高血圧がある。
左眼に星状硝子体症を認める(上の眼底写真では白いモヤ状の混濁として写っている)。
右眼は加齢黄斑変性があり、治療中。
両眼に白内障があり、白内障手術を受けた。現在の左眼視力は1.5。
星状硝子体症による自覚症状はない。
54歳男性。高血圧と高脂血症がある。
左眼に2か月程前から丸い点のようなものがたくさん飛んでいるのが見え出した。
眼底検査にて、星状硝子体症を認めた(上の眼底写真では黄白色の混濁として写っている)。
矯正視力は1.5である。
【症状】
軽度から中等度の混濁では自覚症状はほぼ出ません。
星状体 (asteroid body) の増加や後部硝子体剥離(第82回参照)によって硝子体内にある粒子の密度が増すと混濁が強くなり、飛蚊症を訴えたり、視力が低下する場合もあります。
【原因】
原因は不明です。糖尿病、高血圧、動脈硬化、痛風、遠視などに合併しておこりやすいと言われています。
キラキラ光る星状体の主成分は、カルシウムを含んだ脂質と言われています。星状体は硝子体のコラーゲン線維内に付着しています。似た疾患である閃輝性硝子体融解の場合は、キラキラ物質(=コレステロールの結晶)が硝子体線維に沈着しておらず、硝子体下方に沈殿してきます。
【治療】
基本的には無害ですので特に治療は必要ありません。経過観察で様子をみます。
視力低下をきたすほど混濁が強くなれば、硝子体切除術を行う場合がありますが、一般的には他の眼底疾患の治療で同時に除去する場合以外、単独で手術を行うことは稀です。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)