「よくある目の病気」
第53回目は、感染性角膜炎 (かんせんせい かくまくえん) です。
感染性角膜炎とは、細菌や真菌、ウイルスなどの病原体が角膜に感染し、炎症を起こしている状態です。
【症例】
50歳女性。
5日前から右眼にゴロゴロする異物感、充血を自覚。
フルオレセイン蛍光顕微鏡検査にて、樹枝状の角膜炎を認めた。
ヘルペスウイルスによる感染性角膜炎が疑われる。
【症状】
充血、異物感、痛み、流涙、まぶしさ、かすみ、視力低下、角膜の混濁などがみられます。
症状は比較的軽いものから、激しいものまでさまざまです。
経過も比較的早く治る場合から、長引く場合までさまざまです。
重症の場合は角膜潰瘍(第51回参照)から眼球の内部にまで炎症が波及し膿が溜まったり(前房蓄膿)、角膜に瘢痕が形成され、視力が出なくなる場合もあります(第52回 角膜白斑)ので、早めに治療を開始することが大切です。
【原因】
感染性角膜炎の原因微生物には、細菌、真菌、ウイルスなどがあります。
細菌性の場合、緑膿菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、梅毒トレポネーマ、クラミジアなどがあります。
真菌性の場合、糸状型真菌(カビ)、酵母型真菌(カンジダなど)などがあります。
ウイルス性の場合、アデノウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。
また、原生生物としてアカントアメーバも原因微生物となります。コンタクトレンズ装用者に起こる場合があります。
【治療】
感染症を引き起こした原因微生物の種類により、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤などを使い分けます。点眼薬、眼軟膏、内服薬、結膜下注射、点滴などで適宜治療します。原因微生物が特定された場合には、再度感染しないように対策を指導することもあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)