「よくある目の病気」
第52回は 角膜白斑 (かくまく はくはん) です。
角膜とは本来、無色透明な組織です。しかし、角膜が何らかの原因により大きなダメージを負うと、透明には戻らず瘢痕(はんこん)化して白く混濁を残してしまいます。
混濁には、程度により分類があり、程度の強いほうから角膜白斑、角膜斑(かくまく はん)、角膜片雲(かくまく へんうん)と分類します。
今回の角膜白斑は、虹彩(茶目)や瞳孔(虹彩中央部分の真っ黒な部分)が確認できないほど混濁した状態を指します。
【症例】
63歳男性。左眼の角膜白斑。
小学生の時にボールが眼に当たり、それ以来視力が出ない。
現在の左眼の矯正視力は0.3である。
72歳男性。左眼の角膜白斑。
20年前に細菌性角膜炎にかかり、治療したが矯正視力は0.1どまりである。
【症状】
原因に応じた様々な症状がありますが、白斑自体の主な症状は視力障害です。
角膜白斑は、できる場所や大きさ、白斑の数も原因により様々です。特に角膜中央部は、視力を出す上でとても大事な場所です。ここに白斑が形成されると、視力を出すことは難しくなってくることもあります。
【原因】
炎症、変性、沈着物、外傷、先天性など様々な原因により角膜組織が混濁します。
【治療】
原因、重症度に応じて治療を考えます。
変性が原因の一部疾患に対しては、エキシマレーザーを用いた治療的表層角膜切除術を行う場合があります。
角膜白斑による視力低下が著しい場合は、角膜移植を行う場合もあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)