「よくある目の病気」
第47回は、シェーグレン症候群です。
シェーグレン症候群とはドライアイ(乾性角結膜炎)、口腔内乾燥症、慢性関節リウマチを主体とする自己免疫疾患で、40~60代に多く、男女比は圧倒的に女性に多い(1:14)とされています。また、患者数は増加傾向にあるといわれています(現在国内に6万5000人以上)。平成27年1月1日施行の国の指定難病に追加され、より多くの人に認知されるきっかけになりました。
【症例】
77歳女性。
5年前に乳がんの手術を受け、その際にシェーグレン症候群であることが判明。
目の症状として、涙が出ない、乾燥する、コロコロする。
目以外の症状として、口の中が乾く、肌荒れ、夜間の頻尿、などがある。
現在、人工涙液とムチン分泌促進薬の点眼にて目の症状は軽減している。
【症状】
目の症状としては、基本的にドライアイの症状(第46回参照)が出ますが、より重症となります。
目の痛み(コロコロ、チクチクなど)
異物感(ゴロゴロする)
涙が出ない、感動しても泣けない
充血
かすんで見えにくい(霧視)
まぶしい(羞明: しゅうめい)
目の奥が重いまたは痛い
目が開けられない
目の症状の他に、体の症状も合併します。
口の乾燥、鼻腔の乾燥、唾液腺の腫れと痛み、息切れ、熱が出る、関節痛、毛が抜ける、肌荒れ、 夜間の頻尿、紫斑、皮疹、アレルギー、日光過敏、膣乾燥(性交不快感)、疲労感、記憶力低下、頭痛、めまい、集中力の低下、気分が移りやすい、うつ傾向などがあります。
【原因】
シェーグレン症候群は、根本的な原因は不明の病気ですが、免疫機能の障害によって涙腺(涙を作る分泌腺)や唾液腺が破壊され、乾燥症状が出ると考えられています。
経過は慢性で、根本的に治癒することはなく、治療を継続していかなければならない病気です。
【治療】
治療は根本治療がないため、症状をやわらげる対症療法となります。
目の症状に関しては、ドライアイの治療に準じて行います(第46回参照)。
点眼薬として、人工涙液、角膜保護薬、ムチン分泌促進薬、自己血清点眼などがあります。
眼軟膏や、涙点プラグも使用します。
目以外の症状に関しては、口腔外科や耳鼻科、内科、膠原病科などと共同して対応します。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)