今回から、「よくある目の病気」という新しいシリーズを開始します。
日常的によくある目の病気について、簡単に説明していきますので、皆さんの助けになれば幸いでございます。
目にもいろいろな病気がありますが、まず目の前のほうで起こる病気から取り上げまして、徐々に奥の方で起こる病気へと進んでいく予定です。最初は「眼瞼(がんけん)」の病気をいくつか取り上げたいと思います。「眼瞼」とは「まぶた」のことです。まぶたの病気もいろいろあります。
はじめに取り上げるのは、眼瞼内反(がんけんないはん)です。
まぶたが内側(眼球側)へ向かって反っている状態を眼瞼内反といいます。また、この逆もあり、外側へ向かっている状態を眼瞼外反(がんけんがいはん)といいます。
【症例】
下のまぶたが眼球の方へ反り返り、下のまつげが黒目(角膜)に当たっています。
上の症例と似たような症例です。下のまつげが角膜に当たっています(特に左側)。
蛍光染色という方法で観察しています。下のまつげが角膜に直撃し、傷を作っています。
【症状】
まぶたが内側へ向いているために、まつげ(睫毛 しょうもう)が角膜に接触してしまい、角膜に傷ができるとコロコロやチクチクといった痛みや、充血、涙がでる(流涙)、ひどい場合には視力障害がみられるようになります。
【原因】
まぶたは、眼窩隔膜(がんかかくまく)により前葉と後葉に分けられます。前葉が後葉に比べ過剰になると、まぶたが内側へ向いてしまいます。上側と下側のまぶたどちらでも起こりえます。
※「現代の眼科学」より抜粋
さらに、外傷や火傷等の後遺症による瘢痕性眼瞼内反(はんこんせい がんけんないはん)や、加齢によるまぶたの弛緩が原因の老人性眼瞼内反(ろうじんせい がんけんないはん)などがあります。
【治療】
軽度の場合は、角膜に接触しているまつげを抜去し、点眼薬にて経過をみます。状態によっては、手術を行うこともあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)