「よくある目の病気」
第63回目は、後発白内障 (こうはつ はくないしょう) です。
前回(白内障)の説明で、水晶体は果物に例えられると説明致しました。中心部に種(水晶体核)があり、その周りに果肉(水晶体皮質)があり、そして最周辺部に皮となる部分(水晶体前嚢および後嚢)があるという構造です。
後発白内障は、水晶体のこの皮にあたる部分(前嚢および後嚢)に混濁が生じます。
後発白内障は、白内障の手術後に発症することで「術後に発生する」という意味から「後発」と名付けられています。
【症例】
81歳女性。8年前に左眼の白内障手術を受けた。
術後よく見えていたが、最近見えにくくなってきた。矯正視力は0.7であった。
後嚢が半分濁っており、視力低下の原因となっていた(後発白内障)。
YAGレーザーによる処置を行ったところ、見え方はすっきりした。矯正視力は1.2へ回復した。
75歳男性。6年前に右眼の白内障手術を受けた。
術後よく見えていたが、3ヶ月程前からかすんで、もやもや見えるようになってきた(矯正視力1.0)。
水晶体後嚢が混濁し、後発白内障が生じていた。
YAGレーザーによる処置を行ったところ、よく見えるようになり、かすみは取れた(矯正視力1.5)。
【症状】
白内障の手術後、数ヶ月から数年経過した頃に、目のかすみやまぶしさ、視力低下など、再び白内障と同じような症状があらわれます。
【原因】
白内障の手術後には、前嚢、および後嚢に線維性の混濁、あるいは半透明の隆起性病変が生じますが、視線にかかる位置まで混濁が進行しますと、視力の障害が起こってきます。
視力障害まで進行してしまう頻度は、18~50%と言われており、白内障の手術後の合併症としてはとても頻度が高いと言えます。
【治療】
後発白内障により視力低下をきたした場合、一般的にはYAGレーザー後嚢切開術を行います。
YAGレーザーの衝撃波で後嚢を切開し、視線に混濁がかからないように処置し、視力を回復させます。これは入院は必要なく、外来で行える処置となります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)