レーシック眼 (よくある目の病気 61) | 京橋クリニック眼科は大阪市都島区、京橋駅前の眼科専門のクリニックです。

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レーシック眼 (よくある目の病気 61)

「よくある目の病気」

第61回は レーシック眼 (LASIK眼、れーしっくがん) のお話です。

 

レーシック (LASIK) とは角膜屈折矯正手術の一種で、エキシマレーザーを角膜に照射し、角膜の厚みを薄くすることにより角膜のカーブを変えることによって屈折力を調整し、屈折異常を矯正する手術の名称です。

 

レーシック眼とは、そのレーザー手術を受けた眼のことを指します。

これは「病気」ではありませんが、レーシックの手術を受けた眼は特殊な「状態」になっていますので、普通の眼と違うことを認識しておく必要があります。近年、レーシックの手術を受けたという人がたくさん増えていますので、ここで注意点をまとめておきたいと思います。

 

 

【症例】

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30歳女性。レーシックを8年前に受けた。

手術後はよく見えていたが、1年前から遠くの文字が見えにくくなってきた。

角膜上皮に多数のびらんを生じている。ドライアイも疑われる。

 

 

【問題点】

① 眼圧が低く測定されてしまう

レーシック角膜実質を削る手術ですので、角膜が薄くなります。このことによって眼圧(眼の中から外にかかる圧力)が真の値より低く測定されてしまいます。

 

眼圧の測定法には直接法間接法がありますが、現在の臨床で用いられている測定方法は間接法です。空気を当てて測定したり、実際に角膜表面に器具を押し当てて測ったりしますが、いずれも眼の中の圧力を推定する間接法になります。

直接法とは直接眼の中に針を刺して眼圧を測定するのですが、実際の臨床でそんな危ないことはできません。よって間接法になるわけですが、間接法で計測された数値は角膜を介して計測するので、角膜の厚みの影響を受けます。角膜が薄いと真の値より低く測定され、角膜が厚いと真の値より高く測定されます。

 

眼圧の測定が重要な病気に、緑内障があります。レーシック眼の人が緑内障になった場合は、眼圧の値に注意が必要です。現在では角膜厚による影響を補正して、真の値に近い値を出してくれる器械も出てきていますので、そういう設備がある眼科だと安心でしょう(当院の場合、二デック社製トノレフⅢを使用して眼圧値を補正しています)。

 

② 白内障手術時の眼内レンズ計算が変わる

現在の一般的な白内障手術は、水晶体の袋(水晶体嚢)を残し、中身だけ超音波で砕いて吸ってしまうという方法を採っています(超音波乳化吸引術)。残した水晶体嚢に眼内レンズを挿入するわけですが、これは眼内レンズを入れておかないと、手術後にピントが合わずにモノが見えないという状態になってしまうからです。

 

つまり、もともとあった自分の水晶体は「屈折」という働き(光を折り曲げて網膜にピントを合わせる)を行っており、この働きが手術によって失われるため、代わりに眼内レンズを挿入する必要があります。

 

眼内レンズには厚みがあり、どの厚みの眼内レンズを挿入すれば適切か、手術前に計算を行います(眼内レンズの度数決定)。その際に重要になるのが「角膜のカーブ」です。実は水晶体だけでなく角膜も光を折り曲げる作業(屈折)を行っており、レーシック眼においては角膜のカーブが通常と変わってしまっているので、計算の時に注意が必要となります。しっかりと補正計算を行ってくれる眼科で手術を受けるのが良いでしょう。

 

③ ドライアイになりやすい

レーシック手術後にドライアイになる人がかなり大勢おられます。原因は不明ですが、手術時に角膜の神経が切断されることなどが関係していると考えられています。

 

④ 近くが見えにくい(老眼

年齢が若い頃にレーシックを受けると、遠くが見えるようになり、当然近くも見えますので、遠くも近くも見えるようになって便利だと考えてしまいます。しかし中年になると老眼が起こりますので、近くが見えにくくなります。

老眼加齢によって水晶体の調節力が低下する現象で、ピントを合わせる幅が狭くなってしまい、レーシック眼では遠くにピントを合わせるように手術しているため、年を取ると近くにピントが合わせられなくなってくるという現象が起こります。

 

⑤ 眼が疲れやすい(眼精疲労

レーシックを受けると遠くにピントが合った眼になります。これは④でお話した通りです。

実際の生活スタイルは人それぞれですが、現代社会では近くを見る作業(近見作業)が非常に多くなっています。遠くにピントが合った眼の人が、近くを見る際には毛様体筋を緊張(収縮)させ水晶体の厚みを厚くするという負荷がかかります。

この状態を長時間続けると眼が疲れます。眼の奥が重い、眼の奥が痛い、こめかみが痛いなどの眼精疲労の症状が出る場合があります。場合によっては、頭痛、肩こり、吐き気などのひどい症状を起こす場合もあります。

 

パソコンを使う仕事が多いとか、事務作業であるとか、長時間近くを見る仕事をしておられる方はレーシック手術前によく主治医と相談して、術後の見え方を考える必要があります。あまりに遠くをよく見えるように手術してしまうと、日常生活がつらくなる可能性があるということです。

 

以上、レーシック眼の代表的な注意点・問題点を挙げてみました。この他にも問題点はありますが、手術を受けたいという方は手術前に主治医とよく相談してから、手術を受けるようにしましょう。

 

 

(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)