「よくある目の病気」
第57回は、角膜異物と角膜鉄(沈着)症です。
角膜異物の種類は、金属片・コンクリート片・ガラス片・植物や虫の毛や棘(とげ)など様々です。
その中でも、最も多いのは鉄片などの金属片です。角膜に鉄片が刺さり、その周囲の組織に錆が沈着しているのが角膜鉄(沈着)症です。錆は放置すると角膜組織に広がり、視機能に悪影響を及ぼす為、除去する必要があります。
仕事などで金属片が眼に入ったと思う場合は、できるだけ早く眼科を受診してください。
【症例】
24歳男性。工事現場で仕事をしている。
2日前から左眼がゴロゴロする。痛い。充血して、涙が出る。まぶしく感じる。
左眼の角膜に角膜異物を認めた。
拡大写真。鉄片と思われる(角膜鉄片異物)。
異物除去後の写真。
36歳男性。とび職。昨日の夕方頃に右眼に何か入った。
痛み、ゴロゴロ感、涙が出る。
角膜に金属片が張り付いている(角膜異物)。
41歳男性。コンタクトレンズ処方の検診にて、角膜異物が発見された。
自覚症状はない。
線維性の物質が角膜に埋め込まれている。
同じ症例の反対眼。同様の異物が角膜内に埋め込まれている。
自覚症状はない。
除去された線維性の異物の写真。
【症状】
強い眼痛
異物感
流涙
充血
かすむ、まぶしい、ぼやける、視力低下
【原因】
鉄片などの金属片の場合、作業中に保護ゴーグルを着用していない場合が多いようです。金属片が飛んでくるような可能性があるお仕事をしている場合には、必ず保護ゴーグルを着用するようにしましょう。
【治療】
まずは、異物を除去します。角膜は人体でも一番感覚が鋭いので、処置の前には必ず目薬で表面麻酔を行います。
異物が角膜表面に張り付いている場合、先の尖っていないピンセット等で取り除きます。角膜に刺さってしまっている場は、異物針で摘出します。異物が鉄片の場合、異物を取り除いても鉄片の周囲に錆が残ることがあるので、鉄錆除去用ドリルで錆を取り除きます。
角膜保護剤や抗菌薬の点眼薬・眼軟膏を処方します。
特に、処置後数日間は感染症に注意が必要です。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)