「よくある目の病気」
第56回は 角膜腐蝕 (かくまく ふしょく) のお話です。角膜化学腐蝕とも言います。
【症例】
51歳女性。
30分前に漂白剤が左眼に入った。流水で洗眼したが、ヒリヒリして充血している。
角膜上皮びらん、結膜上皮びらん、結膜炎を認めた。
予後は良好である。
【症状】
強い痛み
充血
流涙
目が開けられない
急激な視力低下
角膜がにごる
【原因】
仕事中の事故などで酸性やアルカリ性の薬物、有毒物質などの化学物質が目に入ることにより、角膜や結膜、眼瞼(まぶた)などが障害されます。
酸性物質とアルカリ性物質とで生体への反応が変わりますが、重症度と予後は原因物質の種類、濃度、pH、量、温度、作用時間などに左右され大きく異なってきます。
【治療】
目を開けるのもつらい状態ですが、大量の流水で継続して洗眼して下さい。
原因物質をできる限り早急に希釈・除去することが重要です。
その後すぐ眼科を受診し、眼科でも大量の生理食塩水で洗眼します。
原因物質の種類により治療方法や予後が変わってきますので、眼科に受診する際は目に入った現物(商品ボトルなど)もしくは取り扱い説明書などの情報を持参しましょう。
角膜保護剤や抗炎症薬などを使用し、角膜の治癒を促進します。感染防止のために抗生物質を用います。治療用コンタクトレンズを使用する場合もあります。
重症の場合は、角膜移植が行われます。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)