「よくある目の病気」
第42回は、先天鼻涙管閉塞(せんてん びるいかんへいそく)です。
前回、涙道閉塞についてお話しましたが、涙道閉塞の中でも生後間もない赤ちゃん(新生児)に起こる病気、先天鼻涙管閉塞を取り上げます。
【症状】
※視能学より抜粋
産まれた直後からの流涙(りゅうるい)や、眼脂(めやに)が出ます。
感染症を併発すると腫れや痛みを伴います(新生児涙嚢炎)。
【原因】
もう一度涙の通り道についてまとめますと、涙は、涙腺(主涙腺・副涙腺)で産生されます。目の表面を潤したのちに、上下涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管と通り最後は鼻腔へと抜けていきます。
※目でみる眼疾患より抜粋
胎児の段階で、はじめ鼻涙管の下の端は鼻腔とつながっておらず、胎生6ヶ月時点で鼻腔と交通すると言われていますが、この交通が閉じたままで生まれてくる場合も実際には多いのです。これが先天鼻涙管閉塞の原因となります。
鼻涙管が閉塞していると涙液が鼻涙管、及び涙嚢に貯まり、腐敗し、涙嚢炎を起こすことがあります。
【治療】
まずは、涙嚢マッサージと点眼薬にて保存的に治療します。マッサージをすることによって鼻涙管下端が鼻腔と交通するのを促進し、自然に治癒することも多いです。
マッサージのみで改善が見られない場合は、涙道ブジー(probing)を行います。これは物理的に閉塞を破る方法で、専用の棒を涙道に差し込むという手術手技となります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)