「よくある目の病気」
第41回は、涙道閉塞(るいどう へいそく)です。
涙道閉塞とは、涙の排水路が詰まる病気です。
涙は涙腺で作られ、角膜、結膜の表面を潤したのち、下まぶたと角膜の間の空間(涙液メニスカス)に溜まり、涙道へと抜けていきます。涙道は、涙点→涙小管→涙嚢(るいのう)→鼻涙管→鼻腔 とつながっています。この通り道のうち、どこが詰まっても涙の排水ができないことになります。
【症例】
右眼 左眼
51歳男性。十数年前から右眼のみメヤニが出るとの訴え。
下まぶたに溜まっている涙液量を比べると、右眼が左眼よりも格段に多い。
その後の涙道通水試験にて、右眼の涙道閉塞(狭窄)が疑われた。
【症状】
常に目がうるむ、涙が溜まっている、悲しくないのに勝手に涙がこぼれてくる。
目頭を押さえると透明~淡黄色の粘度の高い分泌物が逆流することがあります。
目頭が腫れる「涙嚢炎」の状態になると、うずくような痛みも出ることがあります。
【原因】
生まれた直後から起きる先天性のものと、ある程度年齢が進んでからおこる後天性のものがあります。
【治療】
目薬では根治は困難です。涙道の閉じてしまった場所を物理的に開通させ、涙の通り道を確保します。
開通方法は2種類あり、今までは「ブジー」と呼ばれる先の丸い金属棒を涙道内に挿入し、閉じた場所を突いて再開通させていました。しかしその金属棒の先端は直接目に見えず、ブジー先端の操作は指先の感覚に頼る盲目的なものです。
近年では、「涙道内視鏡」を使って直接観察しながら閉じた部分を開通する治療が主流になってきています。閉塞のなくなった涙道に涙管チューブを留置します。
涙管チューブ留置術でも困難な場合は、涙嚢と鼻腔に直接バイパスを作成する手術(涙嚢鼻腔吻合術)を行うこともあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)