シリーズ 「よくある目の病気」
第39回は結膜下出血(けつまくか しゅっけつ)のお話です。
結膜下出血とは、結膜の小さい血管が破れて出血したもので、白目の部分が真っ赤になります。
日常臨床において、大変よく見かける疾患です。
白目の壁(強膜)と白目の表面をおおっている粘膜(結膜)の間に血がたまっている状態で、結膜は透明なので血の色がはっきり見える為、真っ赤になります。
程度は様々で、出血量が少なく点状だったり、斑状だったり、出血量が多く眼球結膜全体をおおうほど広範囲なものもあります。また血腫を作ることもあります。
【症例】
37歳女性。右眼の結膜下出血。
昨日の朝、鏡を見て気づいた。自覚症状はない。
出血量は少ない。
66歳男性。左眼の結膜下出血。
昨日の夕方頃から異和感があった。鏡を見て赤く腫れているのに気がついた。
出血量は多く、結膜全周に出血が回っている。
【症状】
自然に出血した場合は無症状のことが多く、鏡を見て気がついたり、人に指摘されてわかることが多いです。
出血量が比較的多い場合は、異物感を自覚する方もいます。
原因が明確にあり二次的に出血を起こした場合は、原因疾患に伴った症状が起こります(後述します)。
大量に出血した場合は、出血を抱えた結膜がまぶたの外まで出てしまうこともあります。
良い機会ですので、出血と充血の違いを説明しておきましょう。
出血は血管が破れて赤血球が血管の外に出たもので、白目がべったり真っ赤に染まり血管の走行はみえません。充血は血管が拡張した状態をいい、血管が浮き出たように赤く見えます。
【原因】
原因はわからない場合が多く、自然出血と呼びます。
原因がわかるものとして、外傷、手術、急性の感染性結膜炎、全身の熱性疾患(マラリア、猩紅熱、コレラ、発疹チフス、インフルエンザ、麻疹)などが挙げられます。
結膜下出血を頻繁に繰り返す場合、動脈硬化、高血圧、糖尿病、出血性素因(貧血、白血病、紫斑病など)、腎炎などを全身疾患として有している場合があります。
また出血量が非常に多い場合、抗凝固薬を内服していたり、血液中の血小板が減少していたり、凝固機能が低下していたりすることがあります。
【治療】
出血自体は軽度であれば、1週間~10日程で自然に吸収されます。
出血量が多い場合は吸収されるのに時間がかかることありますが、いずれ吸収されます。
結膜に傷ができている場合や、充血や眼脂を伴う結膜炎などが原因の場合は点眼治療を行います。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原学)