シリーズ「よくある目の病気」
第35回は 結膜結石 (けつまく けっせき) です。
まぶたの裏の粘膜(=眼瞼結膜)にできる、白色ないし黄色の小さな点状の固まりのことをいいます。
【症例】
46歳女性。
下まぶたの裏側の粘膜(=眼瞼結膜)に、黄色い点状の固まり(=結膜結石)が多数見える。
付近の粘膜は白く瘢痕化している。
慢性のアレルギー性結膜炎がある。
33歳女性。
上まぶたの裏側の粘膜(=眼瞼結膜)に、黄色い点状の固まり(=結膜結石)が多数存在している。
慢性のアレルギー性結膜炎がある。
【症状】
結膜上皮下にある結石は、ほとんど症状がなく、特に障害がでない場合が多いです。
結膜上皮を破って、表面に突き出ている結石は、異物感がでます。
結石の露出が激しいと、角膜とこすれ傷ができ、ごろごろ、痛み、充血、かすみ、といった症状が出る場合があります。
白目の粘膜(=眼球結膜)に発生することはありません。
【原因】
慢性結膜炎、結膜瘢痕、ドライアイ、老化など様々な原因が挙げられていますが、多くは原因不明です。体質により結石ができやすい方もいます。
結膜の炎症、老化などで、細胞分泌物が貯留し、結石が形成されると考えられています。
結石とよばれていますが、石灰沈着はなく細胞蛋白の変性による硝子様物質(しょうしようぶっしつ)です。カルシウムや脂質、老廃物からできています。
【治療】
結膜上皮下にある場合、基本は治療せず、そのまま経過観察です。
結膜上皮を破って表面に突出している場合は、自然に脱落することもありますが、
異物感がひどい場合や、角結膜の炎症や上皮障害がおきている場合は、異物を除く専用の針や注射針などを使用し、結石を除去します。まわりを圧迫して圧出する方法もあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)