シリーズ 「よくある目の病気」
前回まででようやく結膜炎が終了しました。
今回からは結膜の他の病気を説明していきたいと思います。
第32回の今回は、瞼裂斑 (けんれつはん) です。
瞼裂斑とは、黒目のサイド(3時と9時の位置)の白目が黄色っぽくなること、また黄色っぽく盛り上がる状態のことです。
瞼裂斑自体は軽度の場合、病気とは言えず治療対象にもなりませんが、美容的に気にされている方は多いです(特に女性)。
瞼裂斑に炎症が起こると瞼裂斑炎と言い、充血、痛みが出ることがあります。この場合は治療を行います。
【症例】
26歳女性。ソフトコンタクトレンズ使用者。
右眼、瞼裂斑。黒目の耳側の白目が黄色に変色している。
顕微鏡で見ると若干盛り上がっている。
自覚症状はない。
51歳男性。右眼の瞼裂斑炎。
ソフトコンタクトレンズ使用者。
2週間前から充血あり。痛みはない。
【症状】
軽度な場合は、基本的に自覚症状は出ません。
ただ、瞼裂斑があまりに高く盛り上がると、涙液層に影響が出て角膜が傷んだり(異物感、痛み)、充血したりします。コンタクトレンズを装用されている方だと、フィッティングに影響して乾燥感がひどくなるという場合もあります。
瞼裂斑に炎症を生じた場合(瞼裂斑炎)、充血や痛みが出ることがあります。
【原因】
結膜の結合組織が変化して生じると考えられていますが、原因としては
①加齢 ②光刺激(紫外線など) ③物理的刺激(コンタクトレンズ)
などがあります。特にハードコンタクトレンズを長期間装用している方では、年齢が若くてもかなりの頻度で生じていますし、瞼裂斑の盛り上がりが大きくなりやすいです。
【治療】
症状が出ない場合は、無治療で経過観察します。
角膜が傷んでいる場合、充血している場合は、角膜保護薬などを処方します。
コンタクトレンズが原因と考えられる場合は、レンズのフィッティングをチェックします。瞼裂斑の悪化を避けたい場合は、コンタクトレンズの種類変更(ハードレンズからソフトレンズへ)や中止を勧める場合もあります。
瞼裂斑炎を生じた場合は、場合に応じて抗炎症薬、抗生物質、角膜保護薬などの点眼薬を処方して様子をみます。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)