第13回は眼瞼ヘルペス(がんけんヘルペス)のお話しです。
眼瞼ヘルペスとはまぶた(眼瞼)に症状が出るヘルペスで、ヘルペスウイルスに感染することにより、痛み、小さな水疱(水ぶくれ)、発赤(赤くなる)、腫脹(腫れ)などの症状があらわれます。
眼瞼ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによるものと、水痘・帯状ヘルペスウイルスによるものに分けられます。
【症例】
23歳男性。右下眼瞼のピリピリした痛みを主訴に来院。複数の水泡が生じていた(上の写真)。
結膜炎も併発していた(下の写真)。
【症状】
単純ヘルペスウイルスによるものは、風邪をひいたり、疲れがたまって免疫力が落ちたりした際に多く発症し、乳幼児や思春期の子どもによくみられます。
痛み(ピリピリ)、発赤を伴う、数個の小さい水疱が眼瞼にでき、結膜炎や角膜炎を併発することも多くあります。
水痘・帯状ヘルペスウイルスによるものは、頭痛、全身倦怠感、皮膚の過敏症、発熱、悪寒などの前駆症状があり、痛み、発赤を伴い、多数の小さな水疱ができます。
水疱は眼瞼に限らず、頭や額にもできますが、顔の左右どちらか半分だけできるのが特徴です。
眼にも症状が出ることもあり、結膜が充血し、ひどい場合には角膜炎やぶどう膜炎を起こしてしまう場合もあります。
※「現代の眼科学」より抜粋
【原因】
単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状ヘルペスウイルスなどの感染が原因です。
一度感染して、その後症状が出ない状態が続いても、ある時また再発する場合があります。
風邪をひいたり、免疫力が落ちていたり、疲れがたまっていたりすると再発しやすくなります。
三叉神経に感染したウイルスが再活性化し、増殖することで再発すると考えられています。
【治療】
抗ヘルペスウイルス薬の眼軟膏や内服薬を使用し、ウイルスの増殖を防ぎます(アシクロビル眼軟膏やバルトレックス錠など)。
二次感染を防ぐために抗生物質の点眼薬を併用することもあります。
結膜炎や角膜炎が生じている場合には、炎症を抑えるために抗炎症薬を投与することもあります。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)