シリーズ「よくある目の病気」
第5回は眼瞼痙攣(がんけん けいれん)について取り上げたいと思います。
【症例】
※ 「目でみる眼疾患」より転載
※ 「眼疾患診療ガイド」より転載
【症状】
眼瞼痙攣とは両眼のまぶたの筋肉が痙攣(けいれん)を起こし、まぶたが開けにくくなる病気です。
まばたきが多くなりすぎて、目を開けるのが困難となり、機能的盲となる場合もあります。
筋肉の痙攣が自分自身の意思とは無関係に生じる(不随意運動)ことから、ジストニアの一種(局所ジストニア)に分類されています。
瞬目(まばたき)の制御異常と考えると理解しやすいです。
眼輪筋(がんりんきん まぶたを構成する筋肉のひとつ)に筋肉の硬直と弛緩を繰り返す場合、
眼輪筋が硬直して動かなくなる(強直性の痙攣)場合などがあります。
40歳以上の中高年に多くみられ、女性が男性の2倍以上の頻度で発症します。
有病率は10万人に数人~10数人と報告されており、少ない病気ですが、診断されていない患者さんも多くいるのではないかと言われています。
【原因】
原因不明の場合は、本態性眼瞼痙攣(ほんたいせい がんけんけいれん)と呼びます。
本態性眼瞼痙攣に、さらに口や下顎の不随意運動を合併した場合、Meige(メイジ)症候群と呼びます。
本態性眼瞼痙攣の原因は不明ですが、大脳基底核、視床、中脳、脳幹などに原因があるのではないかと研究されています。
他の病気があり、二次的に眼瞼痙攣を発生している場合を症候性眼瞼痙攣(しょうこうせい がんけんけいれん)と呼びます。
三叉神経痛、角膜異物、前眼部炎症、薬剤などが原因になる場合があります。
【治療】
ボツリヌス毒素注射療法、薬物内服治療、手術治療などがあります。
なお、心身の安静、サングラスの着用、人工涙液の点眼などによりある程度症状が軽減する場合もあります。
ほかの病気からくる二次的なもの(症候性)であれば、原因となる病気から改善させていきます。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)