シリーズ「よくある目の病気」
第4回は眼瞼下垂(がんけん かすい)です。
上眼瞼(上まぶた)が開きにくく、垂れ下がり、正常の位置より2㎜以上下がっている状態のことを眼瞼下垂といいます。
新生児から高齢者まで発症することがあります。
【症例】
59歳女性。18歳の時から40年以上にわたってハードコンタクトレンズを装用。
上まぶたが下がり、瞳孔(ひとみ)を半分ほど隠してしまっている。
本人はまぶたを上げようと意識しても上がらない。
右眼 左眼
47歳女性。1週間前から左のまぶたが下がるとの主訴で来院された。
左の上まぶたが軽度だが下垂している。
よく見ると瞳孔(ひとみ)の大きさに左右差があり、左の瞳孔がやや小さい。
瞳孔径測定装置で計測しても左右差があった。
(右:4.62mm 左:3.74mm)
右眼 左眼
上と同じ症例。
ネオシネジンという散瞳薬(瞳孔を広げる薬)を点眼して、1時間後の写真。
左の眼瞼下垂が改善し、自力でまぶたが上がるようになった。
さらに瞳孔の大きさが逆転し、右より左の方が大きくなっている。
瞳孔径測定装置で測定しても、瞳孔径が逆転していた。
(右:6.69mm 左:7.69mm)
以上の所見から、ホルネル症候群という病気が疑われる。
【症状】
垂れ下がった上眼瞼が瞳孔にかかると、視界が悪く、見えづらくなります。
眼瞼を開くのに、眉毛をあげておでこの筋肉を使うようになったり、顎をあげて見るようになると眼精疲労、肩こり、頭痛といった症状がでる場合があります。
外見を気にされる方もいます。
※「眼疾患診療ガイド」より抜粋
【原因】
眼瞼を開ける時に使う眼瞼挙筋(がんけん きょきん)という筋肉が正常に動かない、周りの組織との結合が弱まるといった事で起こります。
眼瞼下垂の80%が先天性です。
後天性では、
・加齢
・コンタクトレンズの長期装用(特にハードコンタクトレンズ)における摩擦
・動眼神経麻痺
・重症筋無力症
・ホルネル症候群
などが考えられます。
※「目で見る眼疾患」より抜粋
【治療】
重度の眼瞼下垂になると、眼瞼挙筋を縫う、縮めるといった手術を行います。
先天性の場合、視力発達の妨げになり、弱視や斜視を引き起こす可能性があるので、早期治療が必要です。
(監修 京橋クリニック院長 佐々原 学)